抄録
睡眠の問題は医学的管理や加療を要する睡眠障害からのみ生じるわけではない.日常における多種多様な生活習慣・行動様式・環境が睡眠には影響を与える.例えば,嗜好品の摂取や昼夜の光環境,就寝環境,睡眠に関する知識や信念,身体活動,運動などの様々な要素が存在し,これらは睡眠衛生という概念に包括される.睡眠の問題のケアにおける第一選択は,その者の睡眠衛生を評価・把握し,そして,睡眠衛生指導を行うことである.睡眠衛生に包含される項目は多岐にわたるため,個別化せずに一方向的に漫然と実施される睡眠衛生教育は睡眠改善の効果に乏しい.このため,それぞれの者の個別の背景や実情に合わせた,効果的な指導を行う必要がある.本稿では,どのような機序によりそれぞれの睡眠衛生が睡眠に影響を与え,その是正で睡眠改善が期待できるのかを解説し,また,指導をする際の具体的方法やポイントについて紹介する.