日大医学雑誌
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原著
脱水による圧受容器反射機能の低下―伝達関数解析とシークエンス法による検討
斉藤 崇史小川 洋二郎青木 健西村 直子大坪 聖加藤 智一賀川 哲夫岩崎 賢一
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2008 年 67 巻 5 号 p. 287-292

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抄録
脱水による中心血液量減少が,先行研究における下半身陰圧負荷と同様に動脈圧受容器心臓反射機能の低下を生じるかどうかを,伝達関数解析及びシークエンス法の 2 手法を用い検討した.健康男性被験者 7 名にフロセミド 0.4 mg/kg を投与し脱水状態にした.心電図及び動脈圧波形から圧受容器反射機能を評価し,投与前後で比較した.フロセミド投与約 1 時間後の圧受容器反射機能の評価指標は,伝達関数解析 (投与前 21.5 ± 3.2;脱水 14.9 ± 2.9 ms/mmHg) 及びシークエンス法 (投与前 18.5 ± 2.8;脱水 14.3 ± 2.7 ms/mmHg) の双方で有意に低下した.この低下は先行研究の下半身陰圧負荷を用いた結果と同程度 (約 30%) であった.以上より,脱水による中心血液量減少が下半身陰圧負荷と同様に動脈圧受容器心臓反射機能を低下させることが伝達関数解析及びシークエンス法の両指標から示された.
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© 2008 日本大学医学会
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