日大医学雑誌
Online ISSN : 1884-0779
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原著
小中学生の事後指導相談室受診者におけるメタボリックシンドロームについて
―東京都 S 区平成 19 年度と 20 年度の健診成績とアンケート調査より―
阿部 百合子岡田 知雄原 光彦斎藤 恵美子黒森 由紀宮下 理夫鮎澤 衛麦島 秀雄岩由 紀夫
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2010 年 69 巻 5 号 p. 293-297

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抄録

一般学童を対象とした従来の生活習慣病予防健診に,腹囲の測定を加えたメタボリックシンドローム (MetS) 健診を追加し健診後の指導を希望した学童を対象に,小児期における MetS や関連する事象について検討を行った.その結果,第二度近親者における 2 型糖尿病の家族歴を有する学童は,その家族歴のない者と比較して腹囲 (p = 0.0136), 腹囲 /身長比 (p = 0.017), ALT (p = 0.0019), 中性脂肪 (TG) 値 (p = 0.0683) のいずれも有意に高値かその傾向を示した.また,MetS を構成するリスクファクターの数が増加するにつれ内臓脂肪蓄積の指標となる腹囲が増大していた.休日における屋外 (体育館を含む) での運動時間が長い群は短い群と比較して腹囲の平均が有意に小さいことも示された (運動時間 1 時間未満の群:5 時間以上の群,72.9 ± 11.6 v.s. 60.3 ± 11.7 cm, p = 0.0322).MetS の予防や改善について運動の習慣が重要であることが示唆された.

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© 2010 日本大学医学会
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