抄録
背景:中国西域の新疆ウイグル自治区には,現代医療が介入しない環境の中で生活する自然長寿民族といわれるウイグル族が居住している.このウイグル族の自然長寿者における心機能の特徴を明らかにし,日本人長寿者との間に何らかの民族差があるかを検討した.対象と方法:2006 年 8 月に調査を行った 90 歳以上のウイグル族自然長寿者 113 名 (UL 群 平均年齢 94.8 ± 4.1歳 男性 72 名,女性 41 名) と,2006 年 12 月と 2007 年 2 月に調査を行った茨城県鉾田市にある老人保健施設入所中の日本人長寿者 56 名 (JL 群 平均年齢 93.5 ± 3.9 歳 男性 11 名,女性 45 名) を対象とし,心臓超音波検査を行い心機能の比較検討を行った.結果と結語:ウイグル族自然長寿者における心機能の特徴は,日本人長寿者に比べ加齢による左室拡張能低下が年齢の割に軽度であり,左室拡張能が年齢に比し比較的正常に保たれていることであった.