抄録
術前化学療法中に急速増大した乳腺紡錘細胞癌の症例を経験したので報告する.症例は,44 歳女性.主訴は,右乳房腫瘤触知.約 5 X 3 cm 大の腫瘤を認め,精査加療目的に受診.マンモグラフィおよび乳腺超音波検査では,右乳房 C area に境界一部不明瞭な内部不均一の腫瘤性病変を認めた.針生検を施行したところ,浸潤性乳管癌の診断.術前化学療法を施行するも副作用を認めたために中止した.しかし,休薬中の約 1 ヶ月の間に急速増大を認めたために手術先行し,胸筋温存乳房切除術および腋窩リンパ節廓清術および植皮術施行した.病理組織診断では,紡錘細胞癌であった.