抄録
目的:カルボプラチン・パクリタキセルを使用した化学療法 (TJ 療法) において,先発品,後発品変更前後で有害事象の発現や治療が完遂できたかを比較することで,その安全性を検討した.対象と方法:2006 年 4月から 2010 年 8 月まで当院外来化学療法室を使用してTJ 療法を行った呼吸器外科の患者は 34 名.1 名が術前化学療法,13 名が再発,20 名が術後補助化学療法であ った.後発品を使用した患者は 12 名であった.両群間の有害事象の発現と治療の完遂について,後ろ向きに検討した.有害事象は有害事象共通用語規準 v 4.0 日本語訳JCOG 版に準拠した.結果:grade 3 以上の有害事象は先発品で 22 名中 2 名,後発品では 12 名中 4 名がみられた.治療の経過では先発品で治療の中止 3 名,減量 2 名,後発品で治療の中止 3 名,減量 2 名であった.先発品,後発品で有害事象, 経過に統計学的有意差は認めなかった.まとめ:今回の検討では TJ 療法において先発品と後発品では同等の安全性をもつことが考えられたが,長期的な予後については今後も慎重に経過をみる必要がある.