2016 年 75 巻 3 号 p. 113-117
日本大学病院輸血室では,平成26 年10 月に全自動輸血検査装置(IH-1000;バイオ・ラッドラボラトリーズ株式会社)を導入し,不規則抗体スクリーニングを自動化した.今回我々は平成23 年1 月以降に検出された不規則抗体について検出率と特異性を変更前後で検証した.対象は83 検体(総数5390).変更前後での不規則抗体検出率はそれぞれ1.19% (53/4432),2.94% (30/958),うち臨床的意義がある抗体は前が33 検体(62%),後では25 検体(83%) であった.変更後,総検出率は上昇し臨床的意義のない抗体の検出が低下した.一方,前の方法では認められなかった酵素法陽性かつIAT 陰性の抗E抗体が2 検体認められた.自動化は輸血の標準化,輸血過誤の防止に有用であるが,そのなかで検出された個々の不規則抗体の臨床的意義の有無の判断は,抗体の特異性を考慮した上での追加検査が重要であると考えた.