日大医学雑誌
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症例報告
膿胸開窓術後にActiV.A.C.® 型陰圧維持管理装置を使用した治療経験
古市 基彦古賀 守
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2016 年 75 巻 6 号 p. 299-302

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抄録

症例は60 歳代,男性.膿気胸で胸腔鏡下膿胸腔掻爬,肺部分切除術を施行したが,退院後2 ヶ月で手術時のドレーン抜去部から膿性排液がみられたため,膿気胸再発の診断で再入院となった.ドレナージで経過をみていたが,抗生剤治療による薬剤性腎障害を発症したため,開窓術を行った.開窓術後第2 病日に呼吸困難を訴え,肺の高度虚脱を認めた.胸腔内を陰圧に保つ必要があり,開胸創を密閉できるVAC 治療システムを使用することとし,携帯が可能なActiV.A.C.® 型陰圧維持管理装置(KCI 社,以降Acti 型)を装着した.25 mmHg の陰圧で維持すると肺は良好に伸展,呼吸困難は改善した.また,当初は二期的に開窓部を閉鎖する手術を考えていたが,創部の狭小化と肺の伸展を認め,術後10 ヶ月の時点で創は完全に閉鎖し上皮化した.VAC 療法は簡便であり,Acti 型は携帯可能なことから外来通院も可能で呼吸器外科領域でも安全に使用できると考えられた.

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© 2016 日本大学医学会
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