日大医学雑誌
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特集
抗 C5 抗体療法
小林 ひとみ武井 正美
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2017 年 76 巻 1 号 p. 28-30

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抄録

補体系は先天性免疫の中心的要素であり,先天性免疫応答と適応免疫応答の橋渡しを行っている.しかし補体系はその破壊力を宿主細胞に向けることもあり,さまざまな疾患および病態に関与している.補体系の調節は薬物探索の有望な方法と認識されており,治療方法が多数開発されてきた.2007 年3 月に米国食品医薬品局が初めて承認した補体特異的薬物である抗補体成分C5 抗体(エクリズマブ;ソリリス)は,この分野で長く待ち望まれていた突破口であった.エクリズマブは,抗C5 ヒト化モノクローナル抗体で,補体C5 に高親和性を示し,C5 からC5a,C5b への開裂を阻害することにより,終末補体活性化経路を完全に阻止し,溶血に対する劇的な抑制効果が示され,夜間発作性血色素尿症の治療の中心となった.また一方,補体制御異常による非典型溶血性尿毒症症候群(aHUS) の中心的治療として注目されている.本稿では,aHUS の診断からエクリズマブの治療の最近の知見について述べる.

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© 2017 日本大学医学会
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