日大医学雑誌
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原著
当院における小児期Salter 骨盤骨切り術での出血量の検討
土橋 信之平良 勝章根本 菜穂及川 昇徳橋 泰明
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2018 年 77 巻 3 号 p. 165-168

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抄録
幼児期臼蓋形成不全や遺残亜脱臼に対してしばしばSalter 手術が選択される.そこで,当院で行った本術式の出血量に関して検討した.8 例8 股,平均年齢は5 歳0 か月であった.全例前方 (Bikini line) 皮切,骨盤からの自家骨採骨の代わりにβ-TCP を用いた.採血は術前と術後2,4,7,14 日目に行い,手術時間,術中出血量,最低ヘモグロビン (Hb) 値,輸血量,術後最大Hb減少量,推定出血量,合併症について調査し検討した.手術時間は平均82 分,術中出血量は平均82 ml,最低Hb 値は平均10.3 g/dl で2 例が術後2 日目に,6 例が術後4 日目に最低値となった.Hb 減少量の平均は36.89g,推定出血量の平均は277.3 ml であった.幼少期に補正手術を施行するか,臼蓋形成不全や遺残亜脱の改善に期待し,成人期の骨盤骨切り術を選択すべきかの結論は出ていない.本術式の推定出血量は全血液量の約1/5 である.また,自己血貯血や輸血が必要となった症例もなく,侵襲は大きくないと考えられる.
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© 2018 日本大学医学会
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