日大医学雑誌
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特  集
脳神経外科領域における治療可能な認知症
中村 高浩渡辺 充大島 秀規吉野 篤緒
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2018 年 77 巻 5 号 p. 289-293

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抄録

認知症は一般に進行性,不可逆性のものであり治療 困難であるが,正常圧水頭症 (normal pressure hydrocephalus: NPH) 及び慢性硬膜下血種 (chronic subdural hematoma: CSDH) を原因とする認知障害は脳神経外科手術に よる改善が見込まれる.NPH は認知障害,歩行障害, 排尿障害を三主徴とし,画像にて脳室拡大を認める. 特に 60 歳以上の高齢者に発症する特発性正常圧水頭症 (idiopathic NPH: iNPH) は特徴的な画像所見を示すことが 明らかとなっている.iNPH は,シャント手術による症 状の改善が,大いに期待できる疾患であることが多く の研究で証明されている.画像所見及び,臨床症状から iNPH を疑った場合は,髄液排除試験や,シャント手術 を検討する必要がある.

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