日大医学雑誌
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症例報告
胃瘻チューブに起因する十二指腸閉塞症を来した高齢者の 1 例
篠崎 瞭栗藤 克己高田 紀代子塩野 元美
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2020 年 79 巻 1 号 p. 19-23

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抄録

 昨今高齢化社会において,胃瘻造設の適応に関 しては賛否があるが,造設に関しては体格,胃の変形等 にもよるが作製位置に留意し,報告では,バルーン型で はなくバンパー型ストッパー付きが推奨されている.高 齢者に発症した Percutaneous Endoscopic Gastrostomy(以 下 PEG)チューブに起因する十二指腸閉塞症の 1 例を 経験した.〔症例〕89 歳女性〔現病歴〕約 2 年間の経腸 栄養療法中,受診 3 日前から排便排ガス停止,嘔吐,腹 部膨満感を認め,腸閉塞を疑い,当科に紹介された.〔既 往歴〕認知症,両側大腿骨頸部骨折,嚥下障害〔入院後 経過〕患者は,寝たきり,意思疎通不可能,皮膚は胃瘻 周囲発赤びらんを認め,画像検査で十二指腸閉塞を認め た.PEG チューブ抜去,交換を施行,閉塞解除により 消化管症状が消失,Ball valve syndrome と診断した.同 様の病態は,胃内の腫瘍が十二指腸に嵌入しても生じる ために,注意が必要である.

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