日大医学雑誌
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シリーズ COVID-19
妊娠とコロナウイルス感染症
早川 智相澤(小峯) 志保子髙田 和秀
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2021 年 80 巻 4 号 p. 157-159

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抄録

COVID-19 のパンデミックは,医学のみならず社会経済的に世界的問題となっている.当初,若年者はSARS-CoV-2 に感染しても,無症状あるいは軽症ですむといわれていたが,主な流行株がδ株に置き換わるにつれて,若年者の感染者が増加し,中には重症化するケースも増えてきた.それに伴い,2021 年 7 月以降,妊婦の感染者数も急増している.幸いなことに SARS-CoV-2は風疹やジカ熱のような催奇性の報告は無いが,妊娠中に重症化すると,母体の治療のために予定日よりも前であっても帝王切開で早期に分娩とせざるを得ない場合もある.子宮内での胎児への感染は極めて稀であるが,出生後に水平感染で感染するリスクはある.現在,全世界で新型コロナウイルスワクチンの接種が進められている.妊婦に対するワクチンの有効性や安全性が明らかになったため,妊婦や妊娠を希望する人への接種も推奨されている.しかし,安全性への不安などを理由に接種を希望しない人も多い.COVID-19 に感染した妊婦に対して投与できる薬剤は限られており,ワクチンも含めて厳重かつ積極的な感染予防が重要である.

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