2024 年 83 巻 6 号 p. 203-208
組織透明化技術とは,観察対象標本に化学的な処理を施すことによって標本内部に光を通し,顕微鏡下で組織をそのまま観察するために用いられる手法のことであり,近年その開発が目覚ましい.本稿では,組織透明化技術の原理,これまで開発された様々な手法の特徴,および顕微鏡での観察について紹介する.そして,特に国内で開発が進められ,複数の試薬キットが販売されている水溶性化合物を用いた透明化技術の原理とそれぞれの違いについて解説する.最後に活用例としてヒトの舌標本とマウスの臓器標本に透明化処理を行った実験例を紹介する.