抄録
竹村(2024)は,大町北東方の中山高原(旧大町スキー場)付近の大町市総合射撃場敷地内に露出する大町テフラ層について,層序と鉱物分析を報告した.その場所の南側に位置する大町市が管理する一般廃棄物最終処分場跡地にも大町テフラ層が露出している.この露頭について,柱状図の作成と全層準の帯磁率を測定し,砂粒の粒径分析および相当層の鉱物組成との関係を検討した.いわゆる“ローム層”(風成塵や火山砕屑物などを含む褐色の粘土質土壌のこと)の帯磁率に関する研究は,中国大陸のレス(黄土)との関係も含めて1990 年代~2000 年代に盛んに議論されてきた.大町周辺の大町テフラ層も厚いローム層を含むが,帯磁率についての詳細な報告はこれまでになかった.他地域の研究やレスとの関係も検討することにより国際的な研究の発展にも寄与できると考える.