市立大町山岳博物館研究紀要
Online ISSN : 2432-1680
Print ISSN : 2423-9305
ニホンカモシカCapricornis crispusの発情と摂餌率の関係
栗林 勇太
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研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2019 年 4 巻 p. 71-75

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抄録

市立大町山岳博物館では1956年より現在にわたってニホンカモシカCapricornis crispus(以下カモシカ)の飼育繁殖を継続してきた。カモシカは、一時期個体数が減少し、絶滅が危惧されたものの、密猟の取り締まりの強化といった法的な規制などによる保護から近年個体数は増加していると考えられるが、動物園では飼育下個体群管理の観点などから飼育がなされている。しかし、繁殖率の低さなどから繁殖技術は未だ確立されているとは言えず、飼育個体数を維持していくための科学的・技術的知見の集積が必須となっている。受胎の効率化には発情の早期発見が重要である。カモシカは発情時になると摂餌率が減少することが経験的に知られている。本稿では、当館で蓄積されてきたデータを基に摂餌率と発情の因果関係を統計学的に分析し、相関が見られたことを報告する。この成果は、作業量・経費が節減された新たな繁殖手法として期待される。本研究は当館の飼育繁殖事業の一環として行った。

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© 2019 本論文著者
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