お茶の水女子大学附属中学校研究紀要
Online ISSN : 2758-6742
Print ISSN : 2758-5360
「主体的・対話的な深い学び」を構築する ウクレレを活用した創作活動の実践検証
中山 由美
著者情報
研究報告書・技術報告書 オープンアクセス

2022 年 51 巻 p. 186-204

詳細
抄録

本研究の目的は、「主体的・対話的な深い学び」を構築するために、創作活動においてウクレレを表現ツールとして活用する有効性を実践検証することである。第1学年で、コードネームとウクレレのコード演奏の仕方(主要三和音の C、F、G7)の知識を得て、この3コードを使ったメロディのコード進行の演奏を中心に Dm、D、Am のコード弾きを習得した上で、本研究内容である第2学年での創作活動を実施した。創作活動は、つくるプロセスを筆者が実演提示した後、「主体的」な学びの場面として、自分のコード進行をつくる活動を設定した。次に「対話的」な学びの場面として、少人数グループ活動で各自がつくったコード進行を持ち寄り、つなげたり、重ねたりし、コードに合うメロディも考え、曲の組み立てを話し合いながら合奏をつくる活動を設定した。検証結果は、創作作品の採譜による分析、授業観察と生徒が記述した授業の振り返りから検討した。その結果から、1ウクレレはギターに比べ安価で、大きさやナイロン弦である点、コードが押さえやすい点から音楽授業で扱いやすく、演奏と話し合いが同時にできる利点があること、2ウクレレは、実感を伴う理解が難しかった和音(コード)に実技を伴って親しむことができることからコード進行を使った創作が可能であること、3ウクレレを活用した創作活動は、個別活動後にグループ活動での取り組みによってより創意工夫のある活動となること、が明らかとなった。以上から、ウクレレを活用した創作活動は、「主体的・対話的な深い学び」を構築できる可能性が高いことがわかった。なお、本研究は、令和3(2021)年度科学研究費助成事業(科学研究費補助金)(奨励研究)課題番号 21H03933 を受けた。

著者関連情報
© 2022 お茶の水女子大学附属中学校
前の記事 次の記事
feedback
Top