日本内分泌外科学会雑誌
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特集2
遺伝性乳癌卵巣癌症候群の現状と課題~乳癌診療の観点から~
石川 裕子藤田 知之
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2023 年 40 巻 4 号 p. 251-255

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抄録

遺伝性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)は乳癌の約5~10%の症例を占め,BRCA1およびBRCA2遺伝子が責任遺伝子である。当院における2020年4月から2022年12月までのBRCA1/2遺伝学的検査(BRCA検査)の実施状況について,BRCA検査に至る患者の割合,BRCA検査を提案・実施するタイミングを解析したところ,当院はBRCA検査実施率が比較的高率であった。HBOCに関する適切で正確な情報提供は非常に重要であり,診療体制・役割分担・院内連携・情報提供方法のtipsについて述べた。近年は周術期コンパニオン診断としてのBRCA検査も重要になり,BRCA検査が予防的意義から予後改善への意義をもつようになっているので,検査の適切な実施が求められる。患者の自律的な意思決定支援には,医師を含めた医療スタッフのHBOCについての十分な理解と,多職種によるチーム医療のシステム化が不可欠である。

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