日本内分泌外科学会雑誌
Online ISSN : 2758-8785
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目次
編集委員会
特集1
  • 佐藤 伸也
    2025 年 42 巻 1 号 p. 1
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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  • 平光 高久
    2025 年 42 巻 1 号 p. 2-6
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    甲状腺疾患に対する内視鏡下手術が2016年に保険適応になってから,内視鏡下手術を取り入れる施設が増加している。内視鏡下手術を行うことの意義には,美容的意義と外科的意義がある。美容的意義として,これまでの頸部横切開のように頸部に手術創を作ることなく,衣類で隠すことができる場所に手術創を作成して手術を行えることである。外科的意義として,術野を拡大視できるため,従来の手術以上に繊細な手術を行うことができる。そのため,出血量を軽減でき,反回神経の温存にも有効である。さらに,助手とも同一術野を共有できるため,多くの目で確認しながら安全に手術を進めることができる。甲状腺疾患に対する内視鏡下手術の術式として本邦で最も行われているvideo-assisted neck surgery(VANS法)の原法とその応用法について述べる。

  • 三崎 万理子, 井上 聖也, 河北 直也, 竹内 大平, 藤本 啓介, 宮本 直輝, 坂本 晋一, 森下 敦司, 藤原 聡史, 後藤 正和, ...
    2025 年 42 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    内視鏡下甲状腺手術には様々なアプローチ方法が報告されている。われわれは,VANS原法に変更を加えた方法で内視鏡下甲状腺手術を実施している。カメラ挿入位置を変更し,必要に応じて助手のassist portを追加している。良性腫瘍では最大径5cmまで,バセドウ病では推定重量50gまでを手術適応とし,悪性腫瘍はcT1N0までとしている。甲状腺表面までの到達方法は,胸鎖乳突筋内縁より前頸筋前面に到達し,側法アプローチで甲状腺表面まで到達する。前頸筋背側にリトラクターを挿入して吊り上げ,視野を展開しており,原則,患側からの手術操作で行っている。現在までの手術成績では,通常手術と比較して同様の安全性や根治性が得られている。一方で,手術時間が長いことが難点と考える。術式の定型化の徹底と手術トレーニングの工夫によって,手術時間の短縮を図り,術者教育を行うことが今後の課題である。

  • 齋藤 慶幸, 池田 佳史, 加藤 弘, 佐藤 道夫, 五月女 恵一, 高見 博
    2025 年 42 巻 1 号 p. 12-16
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    近年,甲状腺内視鏡手術のニーズが高まる一方で,その普及率は依然として低い。本稿では,腋窩アプローチを用いた送気法による甲状腺手術の手技および工夫について述べる。腋窩アプローチは,創部が目立たない利点や視野が開頸手術に類似する特徴から,術者および患者双方に受け入れられやすい手術法である。送気法は皮弁と操作部位に一定の圧力をかけることで止血効果を得られる一方で,適切な気圧設定や解剖の認識を要するなど注意が必要である。本稿では,送気法による腋窩アプローチの手術手順や工夫などを解説するとともに,術中のpitfallとその対策について考察した。本稿が,内視鏡手術導入を検討する医師の一助となることを期待する。

  • 南 幸次, 新田 吉陽, 平島 忠寛, 中条 哲浩
    2025 年 42 巻 1 号 p. 17-21
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    甲状腺内視鏡手術は整容性に優れ患者満足度も高い。一方で鎖骨下・前胸部・腋窩法など様々なアプローチに加え吊り上げ式や送気法など施設により様々である。本稿ではVANS変法における操作の定型化および場面ごとの手術のコツについて述べる。

    視野展開:甲状腺はエンドスワブなどで面を意識した圧排を行い,前頸筋は内視鏡用筋鈎を使用し確実な視野展開を行う。

    上極(上甲状腺動静脈)処理:血管周囲剝離鈎により上甲状腺動静脈を挙上し安全な血管処理が可能となる。

    反回神経周囲の操作および麻痺防止への対策:術中神経モニタリング装置(IONM),持続モニタリングの使用で確実な反回神経の同定ならびに牽引麻痺に対する予防を図る。エネルギーデバイスによる熱損傷や過剰牽引に対して注意し操作を行う。適切なデバイスの選択も重要である。

    安全な甲状腺内視鏡手術実施には,手術手技のポイントを理解し,十分な技術の習得が重要である。

特集2
  • 西本 紘嗣郎
    2025 年 42 巻 1 号 p. 22
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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  • 岩橋 徳英
    2025 年 42 巻 1 号 p. 23-29
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    副腎皮質疾患の病態生理の解明は,内分泌分野における重要課題である。近年,シングルセルRNAシーケンシングおよび空間トランスクリプトーム解析の技術革新により,個々の細胞の特性把握や組織内での遺伝子発現の空間的分布を詳細に解析することが可能となった。本稿では,両解析技術の基盤について概説するとともに,大規模データから生物学的な意味を抽出するために必要な,データの前処理から高次解析に至る解析手法について解説する。さらに,両解析技術を用いて明らかになった,副腎皮質の加齢性変化や腫瘍形成過程における新知見を紹介する。シングルセルおよび空間トランスクリプトーム解析により,従来のバルク解析では見出すことができなかった細胞の挙動を捉えることが可能となり,副腎皮質疾患研究に新たな展開をもたらしている。

  • 武田 利和, 大家 基嗣
    2025 年 42 巻 1 号 p. 30-34
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    腹腔鏡下副腎摘除術は1992年に初めて報告され,現在良性副腎腫瘍に対する手術のゴールデンスタンダードとなっている。良性腫瘍に対する腹腔鏡下副腎摘除術は開腹副腎摘除術と比して治療効果は同等であり,低侵襲であることが報告されているが,腫瘍サイズによっては腹腔鏡下手術の限界があると考えられる。また,褐色細胞腫や副腎癌に対しては被膜損傷を起こさないことを大前提とした術式選択が必要である。更なる低侵襲手術を目指し,単孔式腹腔鏡下手術,reduced port surgery,腹腔鏡下副腎部分切除術が報告されている。腹腔鏡下副腎部分切除術は標準術式ではない為,適応を十分に検討して術式を決定する必要がある。手術が困難と判断されれば,無理せずポートの追加や開腹手術を検討し,常に安全な手術を心がけるべきである。

  • 澤田 篤郎
    2025 年 42 巻 1 号 p. 35-39
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    副腎腫瘍は,ホルモン分泌のない良性の副腎皮質腺腫から,分泌性の副腎皮質悪性腫瘍(副腎皮質がん)または副腎髄質のホルモン分泌腫瘍(褐色細胞腫)までさまざまである。以前より,腹腔鏡下副腎摘除術が副腎腫瘍に対するゴールドスタンダードな治療とされてきた。が,近年ロボット技術の普及により,副腎腫瘍に対してもロボット支援下副腎摘除術が選択肢の1つとして位置づけらるようになった。本項では,ロボットによる経腹的副腎摘出術について,その適応,手順,利点,限界,従来の腹腔鏡下副腎摘出術との比較など,現時点でのデータを要約する。ロボットアプローチの使用は,腫瘍が大きな症例や肥満症例,副腎部分切除を施行すべき症例などにおいて有用であると考える。しかしロボットシステム使用による過剰コストが,ロボットのもたらす周術期成績の改善,外科医にとってより良いエルゴノミクスなどに釣り合うものかどうか,症例ごとに十分評価して手術適応を決定する必要がある。

  • 大杉 治之, 元木 佑典, 滝澤 奈恵, 木下 秀文
    2025 年 42 巻 1 号 p. 40-43
    発行日: 2025年
    公開日: 2025/05/22
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    デバルキング手術は,進行癌患者において根治的な外科的切除術が困難な際に,腫瘍量減少を目的として行われる。一部の癌種では,デバルキング手術が生存期間の延長に寄与することが示されている。その代表的な腫瘍の一つに腎細胞癌が挙げられる。ただし,腎細胞癌では,新たな薬剤の登場と共に,有効性の解釈は二転三転しているのが現状である。副腎腫瘍である褐色細胞腫や副腎皮質癌もデバルキング手術が有効であると考えられているが,その希少性から大規模な前向き臨床試験は困難であり,その根拠となっているのはいずれも後方視的な解析結果である。エビデンスレベルが限られている上に,有転移の進行癌患者の病態は複雑化していることが多い。デバルキング手術の適応を考える際には,それらを十分に把握した上で,診療経験の豊富な医療施設での治療が推奨される。

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