甲状腺内視鏡手術は整容性に優れ患者満足度も高い。一方で鎖骨下・前胸部・腋窩法など様々なアプローチに加え吊り上げ式や送気法など施設により様々である。本稿ではVANS変法における操作の定型化および場面ごとの手術のコツについて述べる。
視野展開:甲状腺はエンドスワブなどで面を意識した圧排を行い,前頸筋は内視鏡用筋鈎を使用し確実な視野展開を行う。
上極(上甲状腺動静脈)処理:血管周囲剝離鈎により上甲状腺動静脈を挙上し安全な血管処理が可能となる。
反回神経周囲の操作および麻痺防止への対策:術中神経モニタリング装置(IONM),持続モニタリングの使用で確実な反回神経の同定ならびに牽引麻痺に対する予防を図る。エネルギーデバイスによる熱損傷や過剰牽引に対して注意し操作を行う。適切なデバイスの選択も重要である。
安全な甲状腺内視鏡手術実施には,手術手技のポイントを理解し,十分な技術の習得が重要である。
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