大腸癌の罹患数は増加傾向であり,本邦で最も罹患数の多い癌である。近年の治療技術の進歩によって生存率は向上しているが,ステージⅣや再発した場合の予後は依然として不良である。現在,殺細胞性抗癌剤に加え,分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの新しい治療薬が使われるようになり,特定の遺伝子変異・増幅を有する大腸癌に対しては高い治療効果が報告されている。また,リキッドバイオプシーという新しい診断方法が導入され,より個別化された治療が可能となった。本稿では切除不能・再発大腸癌に対する分子診断とそれに基づいた治療法が実臨床でどのように行われているかを解説し,今後期待される治療についても考察する。