筆者は、「日本人の国民性調査」に長く携わり、これまで、この調査研究を継続する過程で三つの研究目的(計量的日本人研究、社会調査法の研究、統計解析法の研究)に関して調査の現場でどのような問題に直面し、どのように対処したか(あるいは、どのように対処すべきか)について、さまざまな報告や主張や提案を行ってきた。本稿はそれらの記録である。記録の内容は、計量的日本人研究に関しては、20世紀後半期の日本人の意識動向の概括、社会調査法に関しては、実査を専門調査機関に委託する際の調査結果の連続性に関する問題と対策、統計解析法に関しては、実用的な統計学の構築をめざして、統計モデルと情報量基準によるその評価という立場からの情報量統計学の提唱、等である。