理論と方法
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原著論文
「近い国・遠い国」
―多次元尺度構成法による世界認知構造の研究―
田辺 俊介
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2004 年 19 巻 2 号 p. 235-249

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抄録
 本論文は様々な外国人に対する認知構造について、多次元尺度構成法による把握を試みたものである。先行研究を受けつつ本研究では、26国民・民族集団についての類似度データ、10国民・民族集団の一対比較データ、海外経験の有無や外国人友人の有無についてのデータを、主に大学生を対象として収集し、分析した。
 類似度データをクラスカルの非計量多次元尺度構成法で分析した結果、「西洋人(あるいは白人)か否か」、心理的距離、地理の3つの次元によって人々が外国人を分類していることが示された。さらに個人差多次元尺構成度法により認知構造の属性差を検討した結果、旅行経験の有無に関して旅行経験のある人の方が「西洋人か否か」(「白人か否か」)という次元をあまり重視しないという傾向が見られた。また一対比較データを選好度の多次元尺度構成法で分析した結果、「アジアびいき」、「欧米びいき」という異なる選好パターンが存在すること、またイスラム諸国やアフリカ地域の人々がどんな人からも「遠い」存在と考えられていることが示された。
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© 2004 数理社会学会
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