理論と方法
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原著論文
現代高校生と母親の教育期待
―相互依存モデルを用いた親子同時分析―
藤原 翔
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2009 年 24 巻 2 号 p. 283-299

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抄録

 本稿の目的は,高校生の教育期待だけではなく,その母親が子どもに抱く教育期待がどのような要因によって形成されているのかを明らかにすることである.そこで高校生と母親の教育期待の相互の関連をコントロールしたうえで,それぞれの期待に独自に影響を与える要因を示すことが可能な相互依存モデル(Interdependence Model)を用いて,2002年に実施された「高校生とその母親の教育意識に関する全国調査」のデータ分析を行った.互いの期待の関連をコントロールした上で,(1)高等教育進学についてみた場合,高校生の期待には成績や高校の学科や偏差値といった高校生自身や高校に関する要因が独自に影響を与えており,母親の期待には親の学歴,収入といった家族・家庭に関する要因と高校の偏差値が独自に影響を与えていること,(2)四大進学についてみた場合,高校生の期待には成績や高校の学科や偏差値が影響を与えており,母親の期待には親の学歴,収入,高校の偏差値に加えて,子どもの数と子どもの性別が独自に影響を与えていることが示された.以上の結果から,家庭・家族に関する要因は,母子の期待の関連を考慮すれば,母親の期待に対してのみ独自の影響を与えているといえる.

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© 2009 数理社会学会
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