理論と方法
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書評特別企画
『社会学の方法的立場』をめぐる方法論的考察(盛山和夫著, 『社会学の方法的立場 客観性とは何か』東京大学出版会, 2013年, 336頁, 3,200円(本体))
佐藤 俊樹
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2014 年 29 巻 2 号 p. 363-372

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抄録

 盛山和夫『社会学の方法的立場』ではM・ウェーバーやN・ルーマンらの方法論が批判的に再検討されているが,我々の考えでは,これらは彼らへの批判というより,その理論と方法の再記述にあたる.例えばウェーバーの方法は,近年の英語圏や独語圏での研究が示すように,主にJ・フォン・クリースの統計学的で分析哲学的な思考にもとづくもので,経験的な探究では『理念型』や『法則論的知識』は因果分析での反事実的条件としても使われている.彼の『価値-解釈』はベイズ統計学での事前分布と機能的に等価であり,有名な『価値自由』論が意味しているのは,内部観察である社会科学にとって不可避な,観察の理論負荷性である.

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© 2014 数理社会学会
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