理論と方法
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29 巻 , 2 号
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特集 コモンズ問題の現代的展開—社会的ジレンマ問題をこえて—
  • ―数理社会学的アプローチ―
    金澤 悠介, 中井 豊
    2014 年 29 巻 2 号 p. 237-239
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
  • ―社会的ジレンマをこえて―
    林 雅秀, 金澤 悠介
    2014 年 29 巻 2 号 p. 241-259
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     多くのコモンズ研究は,人々の過剰利用によりコモンズが荒廃するリスクがあるという想定のもと,過剰利用を防ぐ制度的な仕組みを解明してきた.しかし,現代日本のコモンズに目を転じると,近代化や少子高齢化といった社会変動の結果,従来のコモンズ研究が想定しない状況が生じてきた.本研究の目的は,既存の研究を検討することで,このような新しいコモンズ問題を解明する糸口を探ることである.まず,新しいコモンズ問題の特徴を把握するために,従来のコモンズ研究の到達点を確認した.次に,新たなコモンズ問題として,社会変動の問題,資源利用の多様化の問題,過少利用問題をとりあげ,それぞれの問題の解明を試みた.その結果,社会的ジレンマモデルに基づく従来の研究では利用者のコミュニティが大きな役割を果たしているが,新しいコモンズ問題では利用者のコミュニティとその外部の関係が大きな役割を果たしていることが判明した.加えて,新しいコモンズ問題を探求する研究の絶対数が少ないことも判明した.
  • 森野 真理
    2014 年 29 巻 2 号 p. 261-276
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     コモンズの「過少利用」では,直接的な資源利用が減少したことで,景観や季節感の喪失,生物相の変化,災害防止機能の低下といった,自然資源の総体(生態系)としての機能低下が問題視されている.本稿では,森林・河川・農地の過少利用の事例をとりあげ,「生態系サービス」という観点から問題の特徴を分析した.その結果,コモンズに期待される受益は,物質資源を供給するサービスから,レクリエーションや景観といった文化的サービス,気候や災害制御といった調節的サービスへと重点が移っていた.期待されるサービスの変化にともない,ステークホルダーの拡張がみられた.
  • ―ロジスティック方程式の拡張―
    堀内 史朗
    2014 年 29 巻 2 号 p. 277-291
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     人々が資源を過剰に利用するために共有地が崩壊してしまう「共有地の悲劇」は,社会的ジレンマ問題の典型例としてよく知られている.共有地の悲劇を回避するためには,資源の利用者を地元民に制限し,利用者同士が相互監視をおこなうような社会設計が必要とされてきた.そのいっぽう,人々が資源を過少にしか利用しないことで当事者以外に負の外部性を生じてしまう,新たな「共有地の悲劇」が,特に日本の山林などで問題になっている.利用者を制限するという方法では,この共有地の悲劇を回避することは不可能である.そこで本稿は,利用者の制限を解き放ち,外部から利用者をその環境へ招くことで資源を持続的に維持する手法の可能性を,ロジスティック方程式を拡張した微分方程式モデルによって分析した.その結果,利用者を外部から招く手法は,過剰利用が原因で環境を消耗させるリスクがあるが,環境に空間的な広がりがあるならば,そのリスクを低減できることが分かった.
  • 小池 心平, 中井 豊
    2014 年 29 巻 2 号 p. 293-307
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     「共有地の悲劇」以来,コモンズ管理は社会的ジレンマとして位置づけられ,フリーライダー問題と利害関係者による自主管理の可能性が議論されてきた.しかし,日本社会におけるコモンズ管理の現状は,人口減少や高齢化により利用者が減少しコモンズが放棄されてしまう新たな問題に直面している.
     本稿では,公共財供給ゲームにおける非参加戦略を用いて,コモンズ管理においてフリーライダー問題を内包しつつ過疎化によりコモンズが荒廃する状況を定式化した.また,地域活性化に協力的な移住者に着目し,移住者と地域住民がコモンズ管理の枠組みの外で地域資源を活用する地域再生事業のモデルを提示した.フリーライダーと過疎化の問題を同時に解決しうる地域再生事業の条件を整理し以下の点を明らかにした.共同事業の収益性に関わらず,少数の移住者と多数の地域住民による共同事業だけがコモンズの維持と過疎化対策に寄与する.地域住民への公的補助の増額は移住を促進するが,地域内で移住者をフリーライダーに変え,再び共有地の悲劇が生じる.
原著論文
  • ―社会意識のミクロ - マクロリンク―
    福井 康貴
    2014 年 29 巻 2 号 p. 309-324
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     本研究の目的は,自己に対する希望,社会に対する希望,それぞれの規定要因の関係を,日本に居住する中高年者を対象として明らかにすることである.先行研究では,自己に対する希望の規定要因は検討されてきたが,それが社会に対する希望の形成につながるメカニズムは明らかになっていなかった.そこで,2010年に実施された「中高年の生活実態に関する全国調査」のデータを用いて,自己に対する希望と社会に対する希望の関連を,階層や社会関係などの要因に着目して検討した.分析の結果,(1) 自己に対する希望が階層や社会関係などの直接的な影響を受けていること,(2) これらの要因は自己に対する希望を通じて社会に対する希望に間接的な影響を与えていること,(3) 自己に対する希望と社会に対する希望の間には,他の変数を統制したうえでも,相互に高め合う関係があることが示された.以上の結果から,自己に対する希望を規定する社会的な次元の不平等を取り除くことにより,自己および社会に対する希望の格差を解消するという道筋が示唆された.
  • 仲 修平, 前田 豊
    2014 年 29 巻 2 号 p. 325-344
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     本稿では,日本における労働市場のマクロ的な特性である失業率とミクロ的な特性である個人要因の2つの観点から,自営業への参入メカニズムを捉えることを目的とする.先行研究では,自営業が潜在的な失業者を吸収する役割を果たしているのかという問題関心を背景として,失業率の変動と自営業者数の増減に関する実証研究がなされてきた.他方では,親子間における自営業の地位結合や自営業への参入前の就業経験が参入に与える影響の検討もなされてきた.しかし,マクロ的な特性とミクロ的な特性の互いの影響が指摘されながらも,同時にそれぞれを考慮した研究は十分になされていない.本稿では,マクロデータの失業率(労働力調査)とミクロデータの2005年社会階層と社会移動全国調査(SSM調査)を使って,離散時間ロジットを用いた分析を行った.分析の結果,失業率の上昇と自営ブルーカラーへの参入には関連が見られない一方で,失業率の上昇が自営ホワイトカラーへの参入を抑制する傾向が確認された.さらに,中小企業における就業経験は,自営業への参入を促進させると先行研究で指摘されてきたが,今回の分析結果では失業率が上昇すると中小企業からの移動が抑制される傾向が示された.
  • 永吉 希久子
    2014 年 29 巻 2 号 p. 345-361
    発行日: 2014年
    公開日: 2016/07/10
    ジャーナル フリー
     外国籍者に対する権利付与の支持についての研究では,包括的な「平等な権利」の支持か,社会的権利や政治的権利等のカテゴリごとの権利の支持が,分析の対象とされてきた.しかし,ある権利の支持がどのような含意をもつかを明らかにするためには,付与を支持する/支持しない権利の組み合わせに着目する必要がある.そこで,本稿では潜在クラス分析を用い,外国籍者に対する権利付与支持のパターンを描き出すとともに,その規定要因を検証した.分析の結果,外国籍者への権利付与支持は,全てに賛成または中間的回答を示す多文化型,全てに反対する排除型,地方参政権などの地方自治への参加の権利に否定的な周辺化型,生活保護などのセーフティネットの提供に否定的な自立型の4つに分けられた.日本人の意識における外国籍者の権利への包摂/排除のモデルを分ける軸となるのは,理論研究において重視される文化的権利への態度ではなく,セーフティネットの提供や地方自治への参加の権利に対する態度であった.また,これらの支持に対する,脅威の認識や社会経済的地位の説明力は小さく,外国籍者の権利からの排除の支持を生じさせる他の要因が存在することが示唆された.
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