2018 年 33 巻 2 号 p. 247-260
本研究では,相対的な位置を表示できる単一の学歴指標を複数検討することで,教育機会の趨勢をシンプルに描き,基礎的な趨勢分析を行う.そのうえで,一般化順序ロジットモデルを用いてその趨勢が裏付けられるかを確認する.これにより,シンプルな指標による趨勢記述も,概略としては有効性を持つことを示す.具体的に分析によって明らかになったのは,以下の諸点である.1)相対的な学歴の指標には様々なものが考えられるが,数値自体の意味もわかりやすく,また教育機会以外の分析目的にも容易に転用可能な標準化教育年数(SYS)に利点がある.2)こうした相対的な学歴指標によって2015年SSMデータから得られた教育機会の趨勢は,おおむね安定的に推移しており,最若年世代の男性において格差拡大の傾向が観察される.3)この傾向は,一般化順序ロジットモデルを用いた分析においてもほぼ同様の結果が得られる.4)同時に,一般化順序ロジットモデルの分析結果は,教育機会の趨勢を大まかに把握するだけであれば,シンプルな相対的学歴指標だけで見てもさほど大きな齟齬は生じない可能性が高いことを示している.