【問題と目的】小学校卒業を前にした子供は,中学校進学への環境変化や,思春期の心身の変化等への期待や不安が生じる。また,学校の保健室を来室する背景要因『主に心に関する問題』は,中学校に進学すると増加している。この時期の子供たちがよりよく学校生活に適応していくためには,子供たちが示す身体的,情動的,認知行動的なストレス反応への効果的支援が必要と考える。そこで,ストレス反応の身体的反応,抑うつ・不安,不機嫌・怒り,無力感に影響を及ぼすと考える学校ストレッサー,身近なソーシャルサポート,保健室でよくみられる身体愁訴,生活習慣との関連を検討することにした。
【方法】卒業予定の2020年2月に5つの小学校の6年生を対象に,自己記入式質問紙で回答を求め,本人と保護者から同意の得られた216名の有効回答を分析対象とした。
【結果】ストレッサーは,友人関係,教師との関係,学業がストレス反応に影響することが明らかとなった。ソーシャルサポートは,母親,担任,友人がストレス反応を軽減することが示された。保健室でよく見られる身体愁訴はストレス反応と関連していた。生活習慣は,運動・外遊び,就寝時刻,朝食摂取,インターネット使用時間がストレス反応と関連していた。
【考察】小学校卒業前の子供たちのストレス反応とストレッサー,ソーシャルサポート,保健室でよく見られる身体愁訴,生活習慣の関連が示唆された。しかし,ストレス反応の抑うつ・不安とソーシャルサポートの直接的関連は見られず,抑うつ・不安においては,直接関連する友人関係ストレッサー,息苦しい,腹痛・吐き気,運動・外遊びに対してのサポートが必要と考える。保健室でよく見られる身体愁訴は,各ストレス反応と関連があることから,身体愁訴がストレス反応の早期発見のサインとなる可能性がある。生活習慣は,インターネット使用時間を減らすことで,外遊び等の運動量を増加させる。そして,就寝時刻を早めて,起床時刻も早めることで,朝食をしっかり摂取する。このようなサイクルはストレス反応緩和の可能性が考えられる。本研究結果では,ストレス反応やストレッサーの平均値が低かったことや,近年の生活環境変化によるストレス反応の影響がみられなかったことから,他の集団や分析方法,ストレス反応への他の影響要因について検討が必要と考える。