脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
原著論文
読み書きにつまずきを示す小児の臨床症状とひらがな音読能力の関連
—発達性読み書き障害診断における症状チェックリストの有用性—
北 洋輔小林 朋佳小池 敏英小枝 達也若宮 英司細川 徹加我 牧子稲垣 真澄
著者情報
ジャーナル オープンアクセス

2010 年 42 巻 6 号 p. 437-442

詳細
抄録

 全般的知能正常で読み書きにつまずきを持つ小中学生98名 (発達性読み書き障害, すなわちdevelopmental dyslexia (DD) 群24名と非DD群74名) に対して, 読字・書字各15項目からなる臨床症状チェックリスト (以下CL) を適用し, ひらがな音読能力を検討した. 信頼性分析の結果, CL各13項目の妥当性が示され, 音読4課題成績との関連性が認められた. DD群は非DD群より多くの臨床症状を有しており, 音読課題の成績低下も顕著であった. 臨床症状が7つ該当し, 音読課題2つに異常がみられる場合, DD群は感度 (79.7%) と特異度 (79.2%) がバランス良く, 非DD群と弁別された. 以上より, DDの医学的診断における本CLの臨床的有用性が示された.

著者関連情報
© 2010 一般社団法人日本小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top