脳と発達
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総説
知的障害とてんかんを主症状とする新しい疾患
—先天性GPI欠損症—
村上 良子木下 タロウ
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2015 年 47 巻 1 号 p. 5-13

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抄録
 最近, 先天性GPI欠損症が知能障害や乳幼児発症の難治性てんかんの原因疾患として注目を集めている. GPI (glycosyl-phosphatidyl-inositol) は150種以上のタンパク質を細胞膜につなぎとめるアンカーの役割をする糖脂質でその基本骨格は真核生物で保存されている. GPIアンカー型タンパク質の生合成とそのリモデリングに関与する遺伝子は現在までに少なくとも26個あることがわかっている. 次世代シークエンサーを使ったエキソーム解析により, 最近このうち12個の遺伝子を責任遺伝子とするGPI欠損症が報告されている. 変異遺伝子のステップや活性の低下の程度により, 症状にはバリエーションがあるが共通症状として知的障害と運動発達障害があり多くはてんかん発作を伴っている. 本総説ではこの先天性GPI欠損症について, 最近の知見を概説する.
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© 2015 一般社団法人日本小児神経学会
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