2017 年 49 巻 4 号 p. 285-286
重症心身障害分野でのボツリヌス毒素療法は他分野と比べて個別性が高く, ニードの多様性から治療目標があいまいとなり, 客観的な効果判定がおろそかなままの治療に陥りやすい. 今回我々は, 当施設で治療を行った19例, 延べ140回の施行による効果を後方視的に検討した. 当初は各症例のニードを設定せず治療を開始したため, 効果が明らかでなく中止せざるを得ない症例が多かった. 中止した例の反省を踏まえ, 多職種による視点で治療のニードを明確にし, それを達成するための標的筋を確実に設定してquality of life (QOL) の面から効果判定を行う方針に変更した. 毎月多職種カンファレンスを開催して1例ごとに検討した結果, 著明改善例も増え, 中止例はほぼみられなくなった. 本分野でのボツリヌス毒素療法においては, QOLの改善に結びつく明確なニードと標的筋を設定したチーム医療が必須であると考えられた.