脳と発達
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原著論文
自閉スペクトラム症における幼児期の感覚処理障害と対人コミュニケーション障害の相関性
髙井 あかり板垣 正樹弓削 マリ子山田 夕貴歴舎 望山田(西村) 知里中西 知奈美戸澤 雄紀手良向 聡森本 昌史寺田 直人
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ジャーナル 認証あり

2025 年 57 巻 5 号 p. 343-348

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抄録

 【目的】自閉スペクトラム症(autism spectrum disorder;ASD)患者における幼児期の感覚処理障害(sensory processing disorder;SPD)とASD重症度・対人コミュニケーション障害との関係を明らかにする.【方法】ASD重症度・対人コミュニケーション障害は日本の質問紙である親面接式自閉スペクトラム症評定尺度テキスト改訂版(PARS-TR;PARS),SPD重症度は日本版感覚プロファイル(Sensory ProfileTM;SP)にて評価した.PARS短縮版とSPの相関性をSpearmanの順位相関係数を調べることにより検討した.【結果】ASD患児26人における,PARS短縮版とSP総得点は中程度の正の相関を認めた.感覚の四象限(感覚過敏・感覚回避・低登録(鈍麻)・感覚探求)では,感覚過敏,感覚回避,感覚探求の三象限で正の相関を認めた.感覚モダリティ別の評価では,聴覚,視覚,前庭覚,触覚,複合感覚と複数のモダリティで正の相関を認め,対人コミュニケーションに限った得点でも同様であった.【結論】ASD患児の幼児期のSPD重症度はPARS短縮版と正の相関がある.PARS短縮版高得点の児では,SPD併存の可能性も念頭に置く必要がある.

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© 2025 一般社団法人日本小児神経学会
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