脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
新生児の神経学的検査に対する考察
連日診察結果にもとづく
前川 喜平外川 清彦倉持 徳子青木 徹
著者情報
ジャーナル フリー

1969 年 1 巻 3 号 p. 218-224

詳細
抄録
数多くの新生児を限られた時間に診察しなければならぬ実地医家にとつて全診察を一定の条件で行なうことは殆ど不可能である. このような条件のもとで (1) 新生児の状態にあまり左右されず, 容易に出来, しかも意味のある神経学的検査法は何か-最低必要な検査項目 (2) これらのうちで神経学的予後と最も関係のあるのは何か (3) 生後何日目に神経学的検査を施行するのが適当か等の問題を解明するために正常新生児160名につき生後より連目6日間神経学的診察を行なつた. その結果 (1) 新生児の状態にあまり左右されず, しかも意味のある検査はArm Recoil, Popliteal Angle, Scarf Sign, Horizontal Suspension, Palmar & Plantar Grasp, Placing response, Stepping movements, Moro反射等が挙げられる. (2) 新生児期で神経学的予後と最も関係のあるのはSucking reflex, 哺乳力である. (3) 診察の時期は生後2日と6~7日に行なう2回診察法い判定に便利である. (4) 正常新生児では生後2日にはScarf症状は総べて陰性である. またこの時期でScarf症状陽性, Popliteal Angle 100度以上, Arm recoil陰性と3検査共に病的となることはない.
著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top