抄録
まだ発達途上にある小児の中枢神経系の問題を扱う小児神経学では何よりもダイナミックな観点が必要であるが, 今までの所, この発達過程を横断的に切りとった静的な一・断面についての神経学しかなされていなかったともいえる. そしてこういったダイナミックな観点がとられる為には新しい概念と方法論が要求されることを述べた. 何よりも医者が診察室で「病気」を持つ小児の受診を待つという体制は, はなはだ不十分であり心理, 教育, 保育等の領域の人々との連けいを持ちながら常に児を多面的に把握する努力が為される様新しい体制が作られることが必要である.