脳と発達
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ハンター症候群
桜川 宣男
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1985 年 17 巻 6 号 p. 597-599

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抄録

ハンター症候群はHunter (1917) によりはじめて臨床徴候について詳細に記載されたムコ多糖症 (第II型) である. 当時Hunter自身も本疾患が先天性代謝異常症であるとは夢想だにしなかったことだろう. 歴史的にはその2年後 (1919) にHurlerが現在の分類によるとムコ多糖症第1型を報告しているが, その特異な顔つきからこれら疾患をガルゴイリズムと呼んだ時代があった. Nja (1946) による性染色体遺伝型式を示すガルゴイリズムの存在が指摘され, ハンター症候群として区別されるようになった. Brante (1952) によりガルゴイリズムがムコ多糖症であると示唆されてから, 生化学的方面におけるめざましい発展がはじまり, 1973年BuchらおよびSjobergらによりiduronate sulfatase欠損症である事が証明された. Hunterがはじめて詳細に記載した内容は見事というしかない. この一つの論文が約半世紀の後にその欠損酵素発見に結びついた事を考えると, Hunterの臨床医家としての素晴しさに感嘆する次第である.

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© 日本小児小児神経学会
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