8例のヒト胎児 (16~40週齢) と乳児 (2カ月) および成人 (63歳) 各1例につき, 全脳または小脳の完全連続切片を作製して, 構造別体積を測定し, 小脳の発達を定量的に検討した. 胎生期では, 小脳皮質の体積増加が著しく, とくに, 30週以後で目ざましかった. 30週以前は小脳髄質の体積増加が顕著であり, 皮質/髄質比は30週前後で大きく変化した. 小脳核は分化が早く, 小脳核間の比率は21週以後ほぼ一定であった. また, 小脳核の小脳全体に対する体積比率は徐々に低下した.
小脳の発達を構造別体積の変化から見ると胎齢30週前後が重要な転換期と考えられた.