1990 年 22 巻 6 号 p. 539-545
東京都多摩地区の4市において把握された6~14歳の重症心身障害児合計43例を対象に, 小児神経学的ならびに障害の原因の検討を行った. 43例中23例が痙性四肢麻痺を呈し, 次いで9例が痙性両麻痺であった. Dyskineticな筋緊張亢進を示した例はわずかに1例であった. 障害の原因は過半数の25例 (58%) が先天性, 周生期障害が6例 (14%), 12例 (28%) が後天性であり, 先天性の占める割合が高く, 周生期の割合の減少が目立った. 障害原因の検討から, 全体の半数近くが今後の医学・医療の進歩によって発生予防可能ではないかと考えられた. 43例中30例においてCTスキャンを検討したところ, 先天性の原因による群では脳の高度な奇形性病変が多く, また髄膜炎後遺症などの後天性の群でも高度の脳の破壊性病変を示すものが多かった.