1996 年 28 巻 1 号 p. 30-38
てんかんを有する小児69例にWISC-Rを施行し, 臨床的特徴と比較検討した.言語性IQ (VIQ), 動作性IQ (PIQ) はともに症候性, 多剤併用治療例, carbamazepine投与例で低かった.不器用児, 視知覚運動検査で視覚運動協応の遅れのあった症例ではPIQが低下, VIQとPIQの差 (discrepancy) が増大し, プロフィール分析で非言語的認知, 右半球による情報処理, 視覚的体制化に障害がみられた.前頭極部一前頭部焦点の症例でPIQが低下, discrepancyが増大し, また経過中, 発作焦点が移動した症例でdiscrepancyが増大した.プロフィール分析結果と発作焦点部位に関連がみられた.小児の神経心理学的所見に影響する因子として, 運動障害や発作焦点の局在部位が重要と思われた.