脳と発達
Online ISSN : 1884-7668
Print ISSN : 0029-0831
ISSN-L : 0029-0831
低酸素性虚血性脳症における出生直後の脳波活動低下と脳病変の関連
早川 文雄奥村 彰久久野 邦義渡辺 一功
著者情報
ジャーナル フリー

1996 年 28 巻 1 号 p. 48-52

詳細
抄録

周生期障害における出生後1週問以内の脳波記録の意義を検討する目的で, 中等度あるいはそれより重篤な活動低下を観察した33例の新生児の予後と脳病変を検討した.新生児期死亡例には超音波検査を施行し, 生存例の幼児期にMRI検査を施行したところ25例に周生期脳障害が認められた.これらの脳病変は在胎齢に関連が大きく, 早期産児には脳室周囲白質軟化症と脳室周囲出血および出血後孔脳症が認められた.一方, 正期産児には多嚢胞性脳軟化症, 成熟脳型動脈支配領域梗塞, 両側基底核視床病変, 皮質下白質軟化症といった様々な低酸素性虚血性脳症が認められた.脳室周囲白質軟化症は正期産児型脳病変に比べて, 比較的軽い脳波活動低下に伴っても受傷しうる病変であると考えられた.

著者関連情報
© 日本小児小児神経学会
前の記事 次の記事
feedback
Top