脳と発達
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臨床的Reye症候群にみられた線溶亢進の播種性血管内凝固とcentral pontine and extrapontine myelinolysis
血管内皮細胞障害による病因説
糸数 直哉井上 忍小玉 隆男古賀 震
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1996 年 28 巻 1 号 p. 72-74

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抄録
線溶亢進の播種性血管内凝固 (DIC) を合併し, central pontine and extrapontine myelinolysis (CPEM) が認められた臨床的Reye症候群の1例を報告した.症例は7歳9カ月の男児で, インフルエンザに罹患中に有熱時のけいれんとその後の遷延性意識障害がみられた.高度な肝機能障害, 高アンモニア血症, 血小板減少と線溶系の亢進を伴う凝血学的異常所見が認められた.ビリルビン, 電解質と脳脊髄液検査に異常はなく, 臨床的Reye症候群と線溶亢進のDICと診断された.MRI T2強調画像では, 両側性の橋を中心とした脳幹, 小脳, 内包後脚と左側視床が高信号を示し, CPEMが考えられた.線溶系の亢進とCPEMの発症機序には, 共通した血管内皮細胞障害の関与の可能性が推測された.
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© 日本小児小児神経学会
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