脳と発達
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初回熱性けいれんとヒトヘルペスウイルス6, 7型感染症との関係
村上 貴孝
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2004 年 36 巻 3 号 p. 248-252

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抄録

熱性けいれん (FC) とヒトヘルペスウイルス (HHV) 6, 7感染症の関係を調べるために, 初回のFCを主訴に来院した患児の臨床症状, 既往歴, HHV6, 7のDNAを検討した.対象は平成14年4月から同年11月の8カ月間に, 初回のFCで受診した3歳未満の患児56名で, 平均年齢は1歳4カ月である.
結果は,(1) 初発のFCの原因が臨床症状, DNA診断からHHV6, 7と確定したのは56名中19名 (34%) であった. (2) 初回FC児の血液から84%にHHV6, 7DNAを検出した. (3) 臨床的に突発性発疹 (ES) と診断しえなかった37名でも78%にHHV6, 7を検出した. (4) 臨床的なESを呈した児の47%, また臨床症状はなくともHHVを検出した患児の43%が複合型FCであった.
HHV感染症は初回のFCに高率に関与し, 複合型FCも多いことから一部の例では, 本ウイルスが中枢神経系に対し直接影響を与えている可能性が示唆された.

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© 日本小児小児神経学会
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