抄録
ウイルス感染にともなう急性脳症の分類には, 病原ウイルスにもとつく分類と, 脳症の臨床病理学的特徴にもとつく分類の2種類がある.後者 (症候群分類) は1990年代半ばから, 日本で急速に進歩した.特に2000年以降, けいれん重積型という症候群の存在が認識されたことは, 急性脳症の包括的分類に向けた大きな前進であった.けいれん重積型と同義ないし類縁の症候群もいくつか報告され, 疾患概念の輪郭, 全体像が徐々に明らかになりつつある.病因・病態の解明と治療の開発については, 今後の研究に待つ部分が大きい.