岡山体育学研究
Online ISSN : 2435-7855
Print ISSN : 1348-947X
原著論文
児童が楽しみ方を工夫する体育授業の指導方略
-ゲーム論にもとづく「幅跳び」の実践を通して-
白石 翔紺谷 遼太郎原 祐一村瀬 遼平
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 32 巻 p. 1-11

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抄録

 本研究は,児童自らが多様な楽しみ方を工夫する体育授業において,いかなる指導方略が用意される必要があるのか,ゲーム論にもとづく幅跳びの授業を実践し,そこで生じる課題や成果を検討した.その結果は以下の通りとなった.1)教師がゲームの前提的目標,構成的ルール,それによって生まれる挑戦課題を必ず整理しておき,あらかじめ規定した挑戦課題を巡る楽しさに十分に浸っているか否かを見取ること.そして,共有している構成的ルールを児童たちが守れるよう,状況に応じて再構成していける文脈やフィクションをいくつか用意しておくこと.2)そのようなゲームをプレイする場のデザインとして,児童のレディネスを踏まえ,児童の能力にあった内部的手段が選択できるように余白を残しておくこと.3)楽しみ方を拡げるためには,ゲームの前提的目標と構成的ルールは守らないといけないが,内部的手段や内部的目標は自由に変えてよいことを,教師は整理し,児童と共有しておくこと.4)教師のねらいと児童の内部的手段や内部的目標をマッチングさせるために,課題の達成度や活動時間を踏まえつつ,児童の意識が結果的に教師のねらいに向くよう誘導の仕方を考えておくこと.

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