日本温泉気候物理医学会雑誌
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三重県菰野町内のウォーキングプログラムによる唾液中コルチゾールと感情尺度の変化
森 康則美和 千尋出口 晃前田 一範中村 毅浜口 均水谷 真康島崎 博也水野 圭祐一色 博川村 直人
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論文ID: 2304

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抄録

  三重県を代表する温泉保養地のひとつである菰野町では,温泉地およびその周辺の健康資源としての活性化を目指した様々な取組が進められており,その取組の一環として,菰野町内におけるウォーキングプログラムが実施されている.本研究では,このウォーキングプログラムによるリラックス効果に着目し,ウォーキングプログラム前後における唾液中コルチゾール濃度と感情尺度の変化について,調査を行った.

  本研究の協力に同意が得られた成年を被験者とし,全行程約7 kmの2種類のコースのウォーキングプログラムを実施させた.実施前後の唾液中コルチゾール濃度,Mood Check List-Short form. 2(MCL-S.2)とVisual Analog Scale (VAS)による感情尺度をそれぞれ測定し,前後比較を行った.

  調査の結果,2種類のコースのいずれにおいても,プログラム実施後の唾液中コルチゾール濃度は,対照としての安静時のコルチゾール濃度に比べて,有意に減少した.コルチゾールは,交感神経優位の際に分泌される副腎皮質ホルモンで,低値を示す方が心理的にリラックスした状態とされることから,ウォーキングプログラムにより被験者のリラックス感が促されたことが示唆された.また,MCL-S.2による感情尺度評価では,「菰野富士コース」で「快感情」と「リラックス感」のスコアの上昇と「不安感」のスコアの低下,VASでは,「菰野富士コース」と「鵜川原コース」で,ポジティブな感情スコアの増加と,ネガティブな感情スコアの減少が,それぞれ有意に認められた.

  これらの結果から,菰野町内で実施されているウォーキングプログラムには,リラックス感の促進等の心理的な有用性が示唆された.

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