日本温泉気候物理医学会雑誌
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センキュウ由来のフタリドの効果
萬 秀憲佐藤 広隆古元 嘉昭
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1994 年 57 巻 2 号 p. 123-128

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抄録

浴用に用いられ高い保温効果が認められている生薬「センキュウ」の有効成分について検討を加えた。前報において, センキュウの揮発成分中に有効成分があることがわかったので, センキュウの揮発成分中に特異的成分として含まれているフタライド系化合物に注目し, その血管平滑筋弛緩作用, 皮膚血流増加作用及びペントバルビタール睡眠時間延長作用について検討した。
ラットの摘出大動脈を用い血管平滑筋弛緩作用を検討したところ, いずれのフタライド系化合物においても弛緩作用が認められ, butylidenephthalide の効果が最も高かった。ウサギ皮膚への適用により, 皮膚血流量はいずれの場合も増加し, butylidenephthalide で最も高かった。フタライド系化合物含有環境下にマウスを曝露すると, ペントバルビタール投与により誘発される睡眠時間はいずれの場合も有意に延長した。
これらの結果から, センキュウを浴用に用いた場合の保温, および鎮静効果は, 主としてフタライド系化合物の効果に基づいたものであると考えられた。また, フタライド系化合物である butylidenephthalide は, 浴用に用いることにより高い末梢循環改善効果が期待される。

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