日本温泉気候物理医学会雑誌
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温泉を利用した地域交流ホームの医療・福祉面での有用性
出口 晃中林 正人浜口 均川村 陽一出口 克巳白川 茂西元 幸雄
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1994 年 57 巻 4 号 p. 278-282

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抄録

1つの病院, 2つの老人保健施設, 10の福祉施設などより成っている小山田総合医療福祉センターの中には, 小山田温泉地域交流ホーム (地交) と呼ばれる施設がある。我々の温泉の利用目的の一つとして地域住民に対するサービスがあげられるが, 地交が中心的な役割を果している。本研究では, 温泉を利用した地交の利用者に対して意識調査を行い, 本施設の医療・福祉に対する役割の現状を知るとともに, 本施設の今後のサービス開発の方向性についても考察した。方法としては, 地交利用者200名に対して, 利用状況, 健康増進効果などに関してアンケート記入方式により調査した。地交の利用目的に関する結果より, 地域住民の地交に対する期待として温泉利用による健康づくりが大きなウェイトを占めていることが推察された。また, 地交利用者の意識としては低いものの, 地交の事業目的の一つである地域福祉の拠点としての機能が果たされていることが推察された。今後の課題としては, 病院・施設群との協力により, 医療・福祉に関する情報提供をさらに充実させ, 地域福祉充実に寄与できるサービス開発も検討していく必要がある。一方, 温泉療法は血栓の進展を防ぐという医学的な面からも好ましい効果を有している。すなわち, 温泉には医療・福祉の両面を有している。生活の質を保ちながら長寿を全うするためには, 医療と福祉の連携が重要である。この点において, 温泉を利用した地交は重要かつ有益な施設である。

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