帯広大谷短期大学紀要
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論文
児童福祉施設としての保育所の最低基準
二重基準化の進行
野坂 勉
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2011 年 48 巻 p. 33-40

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抄録
児童育成が保護者と共に、国、地方公共団体に課せられた責任である事を、児童福祉法は明確に規定する。しかるに現下の保育所入所の待機児童対策とされる施策は、その責務を果たし得ないものとなっている。現代国家の要件たるナショナル・ミニマムは、フリードマン革命といわれる市場原理主義の導入により、その機能は停止、ないしは不全に陥っている。そこで起こった規制緩和、あるいは民間開放によって認可外保育施設は正規な存在、ないしは地位を与えられている。すなわち、児童福祉施設としての最低基準に対し、規制改革と称する二重基準化が進行する事となったのである。これは明らかに、ナショナル・ミニマムとしての最低基準による、保育所保育を受ける児童の権利を侵害する事態をもたらしているといわざるを得ない。
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© 2011 帯広大谷短期大学
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