Organ Biology
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脱細胞化臓器骨格を用いた肝再生医療の可能性
八木 洋北川 雄光
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2014 年 21 巻 2 号 p. 192-198

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抄録
劇症肝炎や,慢性肝炎に伴う肝硬変,肝切除後などを含むさまざまな病態が引き起こす肝不全に対して,現在唯一の根治的治療は臓器移植に頼らざるをえない現状であるが,慢性的なドナー不足によって移植医療を享受できる患者数は必要とする数の3 割にも満たないと考えられている.したがって,肝臓をいかに再生し臓器移植に代わる新たな治療法として発展させるかという肝再生医療開発へのニーズは,iPS 細胞などの幹細胞技術の発展とともに急速に高まっている.このなかで再生医療の発展に非常に重要な基盤として,近年つぎつぎと新たな技術開発がなされている組織工学的手法に大きな注目が集まっている.これまで未知の部分の多かった組織再生の理解を深めるとともに,再生細胞や組織を実際の臨床応用へ押し進めるにあたり大きな役割を担ってきた.なかでも生体内組織の微細環境を再現するためにさまざまな方法が開発されてきたが,特に筆者らは臓器を対象として近年改めて発表された脱細胞化技術を世界に先駆けて肝臓に適応し,その有用性を示した1).本手法は組織再生を理解する基盤技術として有効であるのみならず,これまでの組織工学的手法と比較し臨床応用に向けたいくつかの特徴的利点を有している.しかしながら,一方で今後解決すべきいくつかの課題も明らかにされてきている.本稿では,脱細胞化技術の持つ特徴と今後の再生医療における役割について,筆者らの研究成果を踏まえて現在の知見を述べたい.
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© 2014 日本臓器保存生物医学会
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