2021 年 28 巻 2 号 p. 147-153
臓器移植は末期の臓器不全に対する唯一の根本的治療法であるが, ドナー臓器不足は世界的に深刻な問題となっている. そのため, 臓器移植を代替する治療法の開発が求められている. ヒト人工多能性幹細胞(hiPSC)の出現によって治療に必要な細胞を供給できたことで再生医療は大きく前進し, 現在, 日本において複数の臨床試験が実施されている. 将来のヒト臓器創出を実現化するために, オルガノイド培養技術の活用はひとつの有効な手段である. この総説では, 我々が推進している微小重力環境を利用したオルガノイド研究の進展について述べる.