耳鼻咽喉科展望
Online ISSN : 1883-6429
Print ISSN : 0386-9687
ISSN-L : 0386-9687
第32回 日本医用エアロゾル研究会
鼻副鼻腔疾患の術後治療におけるネブライザー療法の役割
市村 恵一
著者情報
ジャーナル フリー

2009 年 52 巻 Supplement 号 p. s3-s8

詳細
抄録
副鼻腔炎治療の目的は副鼻腔炎の悪循環を断ち切ることにある。慢性副鼻腔炎の手術はこの目的を達成するための1手段であるが, 途中経過をスキップして患者の病態を急速に治癒方向に向かわせるための最も有効な手段の一つである。当然のことながら, 適切な術後治療が必要となる。線毛機能は術後6週~3ヵ月の間に回復するといわれるが, 正常化までにはもう少し時間がかかり, その間は入念な観察と必要な処置を行う。副鼻腔炎のネブライザー療法の側からみると, 副鼻腔自然口径が狭いことなど, 解剖学的問題からエアロゾル粒子は術前には副鼻腔に侵入しにくい。そのために圧をかけたり, 自然口径を拡げたりといった工夫が必要となる。ところが手術を行えば, 大きな自然口径が形成され, 粘液も処理しやすくなるのでエアロゾル粒子が副鼻腔内に沈着しやすくなる。そうなれば術後の治癒過程も円滑に進むことが期待できる。
著者関連情報
© 2009 耳鼻咽喉科展望会
次の記事
feedback
Top