耳鼻咽喉科展望
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カラーアトラス
綜説
  • 小森 学
    原稿種別: 綜説
    2023 年 66 巻 2 号 p. 63-67
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    口蓋扁桃・アデノイド手術は年間数万件以上が施行されている基本的術式であるにも関わらず,術後疼痛や術後出血の問題が多い術式とされている.近年パワーデバイスの発達と共に口蓋扁桃手術は被膜内摘出術と被膜外摘出術に分けて考える必要性が出てきた.また,内視鏡などの発達にともない明視下にアデノイド手術も行えるようになってきた.

    口蓋扁桃・アデノイド手術の疫学的な特徴,手術の歴史と問題点などをまとめた上で各手術適応疾患における最適な術式について考察をした.

原著
  • 石塚 良太, 嶋村 洋介, 小島 博己
    原稿種別: 原著
    2023 年 66 巻 2 号 p. 68-73
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    魚骨異物の多くは口蓋扁桃や舌根に認められるが,舌に迷入する例は比較的稀である.全身麻酔下での摘出を要する場合,魚骨全体が舌組織に完全に迷入した例では,術中の異物位置同定に難渋することも多い.今回我々は,全身麻酔下で針を複数刺し術中にCTを撮影することで,舌に迷入した魚骨を摘出した例を経験した.

    症例は73歳男性.主訴は嚥下時違和感.くえのあら煮を摂取し,その後より症状持続のため受傷後7病日に耳鼻咽喉科を受診した.CTで舌根部左側に1 cm大の線状の高吸収域を認め,魚骨の刺入が疑われた.全身麻酔下に術中超音波検査にて異物の位置確認を試みたが,切開後は陰影が定まらなくなり,位置同定困難となった.針を前後方向に3本ずつ計6本刺入し,全身麻酔を維持したままCT施行したところ,切開線尾側の注射針の後側2~3本目の間に魚骨異物が確認された.異物に近い注射針2針を残して他を抜去し,残した注射針を指標としながらさらに舌筋層を切開し,魚骨を同定し摘出した.術中位置同定に難渋する場合は,本症例のような工夫が有用になると考えられた.

  • 高橋 恵里沙, 茂木 雅臣, 宇田川 友克, 山本 裕
    原稿種別: 原著
    2023 年 66 巻 2 号 p. 74-79
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    外傷性顔面神経麻痺は保存的加療のみで良好な予後が期待できることも少なくない.しかし,一旦は顔面神経減荷術の非適応と判断するも予想に反して麻痺が遷延する例もあり,本手術を施行すべきか迷う例も少なくない.即発性かつ重度で,Electroneuronography(ENoG)値が10%未満であれば減荷術の絶対適応とされている.今回,即発性外傷性顔面神経麻痺に対し,顔面神経モニタリングを使用した減荷術を施行し,良好な予後が得られた1例を経験した.症例は61歳男性.頭部受傷直後に麻痺スコア0点の顔面神経麻痺を認め,CTで顔面神経管に及ぶ骨折線を認めた.受傷11日後のENoG値が55%であり,保存加療が継続されたが,麻痺の改善に乏しく,ENoG値も徐々に低下したため,受傷36日後に減荷術を施行した.術中,骨片による圧迫を除去した直後に顔面神経モニタリングによる反応が出現したため,十分な減荷ができたと判断した.術後1年時点で麻痺スコア36点まで改善を認めている.外傷性顔面神経麻痺において麻痺の改善が乏しい場合には,ENoGを反復施行し,減荷術の必要性を継続して考慮していく必要性がある.

  • 斉藤 優仁, 山口 宗太, 穐山 直太郎, 吉川 衛
    原稿種別: 原著
    2023 年 66 巻 2 号 p. 80-86
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    メトトレキサート(MTX)は関節リウマチ(RA)の中心的治療薬として広く使用されているが,合併症としてリンパ増殖性疾患を誘発する場合があり,特徴として様々な部位に節外病変を認める.今回我々は滲出性中耳炎(OME)を契機にMTX関連リンパ増殖性疾患(MTX-LPD)と診断した上咽頭腫瘍の1例を経験したので報告する.

    症例は70歳,女性.受診1週間前からの左耳閉感を主訴に当院を受診した.左OMEを認めたが上咽頭に腫瘍性病変は認めず,保存的加療で改善した.しかし,その5ヵ月後に左耳閉を自覚し再度受診した.左OMEが再燃し,上咽頭には隆起性病変を認めた.生検上B cellマーカー陽性の異形細胞を認め,RAに対してMTXを長年内服していることと併せてMTX-LPDと診断した.MTX内服を中止したところ,休薬6週目には上咽頭腫瘍は退縮傾向を認め,9週目には腫瘍は消失し左鼓膜所見も改善した.

    MTX服用中で反復するOMEを診察する際は,MTX-LPDにおける上咽頭の節外病変の可能性も念頭に置くべきであり,MTX-LPDは増大や退縮を呈する特性があることを考慮し,MTX服用中でOMEを反復する際は,一度の診察で上咽頭に異常を認めなくても上咽頭の再検査を行うことが重要と考えられた.

境界領域
  • 坂井 健一郎
    原稿種別: 境界領域
    2023 年 66 巻 2 号 p. 87-90
    発行日: 2023/04/15
    公開日: 2024/04/15
    ジャーナル フリー

    めまい症状を訴える患者は多いが,症状からめまいの病態を厳密に鑑別することは難しい.脳神経領域においてめまい症状を訴える患者を診察する機会は多いが,実際に中枢性めまいであることはそう多くはない.しかし,中枢性めまいであった場合は重篤な転帰をたどることがあるため,決して見逃してはならない.中枢性めまいを見逃さないためには詳細な病歴聴取と随伴症状の有無を診察し,必要に応じて速やかに画像診断を行うことが重要である.このようにめまい患者を見た場合は中枢性めまいを念頭に置いた診療が重要である.

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