耳鼻咽喉科展望
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カラーアトラス
綜説
  • 角南 貴司子, 神田 裕樹, 大野 峻
    原稿種別: 総説
    2021 年 64 巻 2 号 p. 72-76
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     眼球を動かすためにはさまざまな脳の領域が関与している。 これらの障害により異常な眼球運動が出現する。 緩徐相と急速相を持つ眼振として出現する異常眼球運動, それ以外の異常眼球運動, 意識障害時の異常眼球運動に大きく分けることができる。 眼振には前庭性眼振以外に注視眼振,反跳眼振, 先天性眼振,輻輳眼振, See-Saw 眼振などがある。 眼振以外の異常眼球運動には Opsoclonus, Ocular Flutter, Square Wave Jerks, Macro Saccadic Oscillations, Ocular Myoclonus, Ocular Dysmetira などが存在する。 本稿ではこれらの異常眼球運動について解説する。

臨床
  • 木下 慎吾, 大崎 政海
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 77-84
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     2015年4月から2020年3月の5年間に, 上尾中央総合病院耳鼻いんこう科頭頸部外科を受診した慢性化膿性中耳炎例の検出菌の検討と, 感染制御の考察を行った。

     対象281例中235例で269株が同定され, 最多検出菌種は Staphylococcus aureus の115株で全体の42.7%を占めた。 次は真菌の37株13.8%で, 続いては Pseudomonas aeruginosa の32株11.9%であった。 Methicillin-resistant Staphylococcus aureus は28株で全体の10.4%を占めた。 難治性菌や真菌が検出され, 混合感染も認めるため, 治療が遷延する可能性が示唆された。 年齢別症例数は, 60歳以上が235例中177例75.3%で, 治療対象は高齢者が多くを占めた。

     薬剤感受性では, Methicillin-resistant Staphylococcus aureus に対してはアルベカシン, バンコマイシン, スルファメトキサゾール・トリメトプリムの感性が良好で, Pseudomonas aeruginosa に対しては, メロペネム, セフェピム, レボフロキサシンの感性が良好であった。

     慢性化した鼓膜穿孔は, 感染の反復や抗菌薬の耐性につながるため, 適切な感染制御法を選択し, 難治性菌の検出減少に取り組む必要があると考えられた。

  • 高林 宏輔, 三澤 隆一, 長峯 正泰, 藤田 豪紀
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 85-91
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     陳旧性眼窩吹き抜け骨折は, 新鮮例に比べ眼球運動の改善に乏しく治療は困難であり報告例も少ない。 手術の要点は眼窩内容物の可動性を妨げている癒着部位の同定とその解除である。 近年シネモード MRI の眼窩吹き抜け骨折治療への応用が報告されてきており, 癒着箇所の同定に有用である。 今回われわれは顔面多発外傷後の陳旧性眼窩吹き抜け骨折手術においてシネモード MRI を用いて癒着箇所を同定し, 良好な治療効果が得られた症例を経験したため報告する。

     症例は54歳, 男性。 前年に顔面多発骨折のため当科で観血的整復術を施行した。 複視の自覚がなかったため, 眼窩の再建は施行しなかった。 初回手術から半年後に複視を自覚したため, 金属プレート抜去と同時に陳旧性眼窩吹き抜け骨折整復術を施行した。 術前にシネモード MRI にて眼球運動障害の原因箇所が眼窩内側壁であったことが同定でき, 同部位の癒着を解除したことで眼球運動は術前に比べ改善した。

     シネモード MRI は癒着部位の評価治療に非常に有効であった。 癒着部位が同定可能な場合は, 陳旧性眼窩吹き抜け骨折においても癒着を解除することで眼球運動が改善する可能性があるため, 積極的に手術を行うべきである。

  • 斎藤 翔太, 柏木 隆志, 木村 亮平, 阿久津 誠, 常見 泰弘, 平林 秀樹, 春名 眞一
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 92-100
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     蝶形骨洞は視神経管や海綿静脈洞に隣接し, 蝶形骨洞から炎症が波及すると, 激しい頭痛や嘔気をきたし, ときに髄膜炎や硬膜外膿瘍などをきたす。 今回われわれは, 海綿静脈洞に炎症が波及した急性蝶形骨洞炎の1例を経験したので報告する。

     症例は47歳女性。 激しい頭痛, 熱発を主訴に近医耳鼻咽喉科を受診した。 CT, MRI にて左蝶形骨洞に軟部濃度陰影を認め, 精査・加療目的に当科に救急搬送となった。 画像精査で急性蝶形骨洞炎の炎症が左海綿静脈洞に波及したものと考えられ, 同日当科に緊急入院し, 抗菌薬投与を開始した。 入院翌日も症状の改善を認めず, 蝶形骨洞のドレナージ目的に内視鏡下鼻内手術を施行した。 術後, 複視や髄膜炎などの後遺症もなく経過し, 第17病日に退院となった。

     海綿静脈洞への炎症波及は, 早期の診断と治療が予後を左右する。 激しい頭痛や眼球運動障害を認めた場合には, 早急に造影 CT や MRI などの画像精査を行い早期診断し, 手術加療によるドレナージだけでなく, 原因菌を同定し, 適切な抗菌薬の投与を行うことが非常に大切である。

  • 黒栁 拓樹, 長岡 真人, 森野 常太郎, 柳原 太一, 白木 雄一郎, 大戸 弘人, 小島 博己
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 101-106
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     症例は56歳, 女性。 前医で口腔底膿瘍に対して加療をされていたが, 短期間で感染を繰り返していたため精査加療を目的に当科に紹介受診となった。 口腔底膿瘍を疑い切開排膿を行ったところ黄色粘土様の泥状物を認めた。 しかし画像検査で口腔底正中に腫瘤を認めたことから類皮嚢胞が疑われた。 反復する口腔底感染がみられたため, 根治的治療目的に口腔底腫瘍摘出術を施行した。 本症例では口腔底腫瘤が顎舌骨筋より上方に限局していたため口内法を選択したが, 腫瘤径が大きくオトガイ棘付近の視野確保が困難な症例であった。 そこで通常の口内法に内視鏡を併用することで嚢胞壁を損傷せずに摘出することができた。

     感染を反復し周囲組織と癒着がみられる口腔底類皮嚢胞に対して, 口腔内アプローチに内視鏡を併用することで良好な視野で術野を観察することができ, 安全かつ確実に腫瘤を摘出することができた。

  • 佐久間 信行, 由井 亮輔, 田中 大貴, 尾田 丈明, 児玉 浩希, 大戸 弘人, 高橋 昌寛, 石垣 高志, 長岡 真人, 小林 俊樹, ...
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 107-112
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     喉頭痙攣は, 一般的には気管内挿管, 内視鏡挿入操作や唾液, 血液, 食物, 嘔吐物の喉頭内への流入が刺激となって起こることが知られているが, 頻度は少ないものの, 神経筋疾患に起因するものも存在する。

     今回われわれは喉頭痙攣を契機に球脊髄性筋萎縮症の診断に至った1例を経験したため, 文献的考察を加えここに報告する。

     症例は49歳, 男性。 X-1 日より, 咽頭痛と呼吸苦が出現し症状が増悪したため, X 日に近医耳鼻咽喉科を受診した。 声帯の開大制限を指摘され, 同日, 当院へ救急搬送された。 喉頭内視鏡検査所見にて, 両側声帯の痙攣と開大制限, 発赤を認めた。 神経内科に診察を依頼したところ, 頭部 MRI 画像上では明らかな異常所見は認められなかったが, 舌萎縮, 女性化乳房, 両足裏萎縮の身体所見があり, 球脊髄性筋萎縮症 (spinal and bulbar muscular atrophy: SBMA) が疑われた。 後日, 遺伝子診断により球脊髄性筋萎縮症の確定診断に至った。

     球脊髄性筋萎縮症は顔面, 口腔咽頭を主として, 四肢を含めた全身の筋力低下, 筋肉萎縮を生じる遺伝性の緩徐進行型下位運動ニューロン疾患である。 初発症状としては, 舌および四肢近位部優位の筋萎縮および筋力低下, 構音障害や嚥下障害, 女性化乳房といった症状が一般的に多く知られており, 後に球麻痺の進行に伴い, 構音障害や嚥下障害, 喉頭痙攣等の症状の出現を認める。

     喉頭痙攣に遭遇した際, 神経筋疾患が原因である可能性を念頭におき, 精査を進めていく必要がある。

  • 今井 貫太, 中島 逸男, 今野 渉, 金谷 洋明, 阿久津 誠, 梅川 浩平, 平林 秀樹, 春名 眞一
    原稿種別: 臨床
    2021 年 64 巻 2 号 p. 113-117
    発行日: 2021/04/15
    公開日: 2022/04/15
    ジャーナル フリー

     頭頸部手術における組織再建にはさまざまな皮弁が用いられているが, 皮弁そのものに癌が発生したという報告は多くない。 今回, 中咽頭前壁癌に対して30年前に舌根部切除, 喉頭全摘術とともに大胸筋皮弁を用いた咽頭再建を施行した後, 皮弁に発癌を認めた1例を経験したので報告する。

     症例は78歳, 男性。 嚥下時の違和感と体重減少を主訴に当院を受診した。 食道内視鏡検査にて咽頭再建皮弁に全周性の乳頭状病変を認めた。 組織生検の結果は扁平上皮乳頭腫であった。 計3回の腫瘤切除を行ったが, 通過障害がまったく改善しなかったため, 再建皮弁を摘出し, 欠損部を遊離空腸で再建した。 最終的な摘出標本での病理組織診断は疣贅状癌であった。 長期術後経過においては再建皮弁自体に二次癌が生じる可能性を忘れてはならない。

境界領域
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