耳鼻咽喉科展望
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カラーアトラス
綜説
  • 野中 学, 瀬尾 友佳子, 佐藤 えみり
    原稿種別: 総説
    2020 年 63 巻 2 号 p. 52-58
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     好酸球性中耳炎 (EOM) は, 上気道の一部である中耳腔に多数の好酸球浸潤を伴う難治性の中耳炎で, 下気道の代表的疾患の一つである喘息と高率に合併し, 両者は one airway, one disease の関係にあると考えられつつある。 最近の報告をまとめ, EOM の特徴, 喘息との関連性, 治療について概説する。

     喘息の重症度をみると, 重症度が高い喘息患者ほど EOM を発症している。 また, EOM を発症する喘息患者は, 喘息のコントロールが適切でなく, 喘息の吸入治療を適切に強化することは, EOM の改善につながる。 EOM の重症度を軽症, 中等症, 重症に分けると, 軽症ではケナコルト (TA) の鼓室内注入療法が有効, 中等症では TA に加えステロイドの全身投与が必要で, 重症では, さらに肉芽組織の外科的除去を要する。 最近, 分子標的薬の効果が報告されつつあるが, データの蓄積が待たれる。

     EOM と喘息の病態は密接に関係している。 適切な喘息のコントロールは, EOM を治療するにあたり重要である。 EOM の重症度に合わせた治療が開始されている。

臨床
  • 鈴木 香, 宮本 康裕, 笹野 恭之, 荒井 光太郎, 西本 寛志, 四戸 達也, 大原 章裕, 稲垣 太朗, 望月 文博, 三上 公志, ...
    原稿種別: 臨床
    2020 年 63 巻 2 号 p. 59-65
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     我が国は世界でも有数の超高齢社会である。 本研究では, めまいや平衡障害を有する65歳以上の患者を対象として, 前庭リハビリテーションの効果について検討を加えた。

     対象は65歳以上のめまい患者21名で, 男性7名, 女性14名で, 前向きの介入研究とした。 前庭リハビリテーションの効果については, Dizziness Handicap Inventory を用いて, 前庭リハビリテーション介入前と介入2ヵ月後を比較検討した。 なお前庭リハビリテーションには Tusa らが提唱した X1 パラダイムと Brandt-Daroff 法を被験者に行ってもらった。

     結果, 前庭リハビリテーション介入前に比べて介入後は, Dizziness Handicap Inventory の平均値と三つのカテゴリー (動作・情緒・機能) とも有意に改善した。 前庭リハビリテーションの手法である, X1 パラダイムは半規管動眼反射の左右差を是正することを主な目的とし, Brandt-Daroff 法は半規管動眼反射の左右差を是正することを目的としている。 つまり一側性の前庭機能低下症例のみならず前庭機能の左右差が少ないとされる加齢性平衡障害の症例においては, 前庭リハビリテーションによって前庭代償が促進された結果, 自覚症状が改善したと考えられる。 めまい患者に対して前庭リハビリテーションを適用するにあたっては, 半規管動眼反射の左右差を是正することを目的とした前庭代償を促すことが重要である。

  • 中山 潤, 結束 寿, 竹下 直弘, 内尾 紀彦, 志村 英二, 濱 孝憲, 小島 博己
    原稿種別: 臨床
    2020 年 63 巻 2 号 p. 66-70
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     症例は42歳男性。 左耳下部腫脹と疼痛を主訴に当科を紹介受診した。 初診時血液検査では WBC 11,900/μL, CRP 39.87mg/dL と炎症所見の上昇と, 頸部造影 CT で左上内深頸リンパ節の腫脹および中心壊死とそれに続く胸鎖乳突筋内の膿瘍形成を認めた。 喉頭浮腫は認めず, 膿瘍の穿刺吸引とアンピシリン/スルバクタムの点滴静注にて治療を開始したが改善なく, 翌日膿瘍切開排膿術を施行した。 胸鎖乳突筋を切開すると膿瘍腔を認め, 副神経流入部位から上内深頸リンパ節へ交通を認めた。 術翌日より炎症所見と頸部所見ともに改善を認め, 術後23日目に退院となった。

     一般的に深頸部感染は頸間隙を介して周囲に波及し, 膿瘍へと発展する。 また, 筋肉内膿瘍は下肢を中心に報告があるが, 頸部ではわずかな報告しか存在しない。 本症例では通常の頸間隙を介さずリンパ節炎から血管・神経が胸鎖乳突筋を貫通部位より筋内へ膿瘍が波及, 進展した症例であり, 感染経路を含め稀である。

     頸部膿瘍の診療にあたり, 頸間隙以外の進展経路も考慮に入れた手術計画が必要である。

  • 三浦 拓也, 細川 悠, 大村 和弘, 森 恵莉, 鴻 信義, 小島 博己
    原稿種別: 臨床
    2020 年 63 巻 2 号 p. 71-78
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     急速な経過から眼窩骨膜下膿瘍を発症し, 視力喪失に至った1例を経験したので報告する。 症例は30歳女性。 右眼瞼腫脹, 疼痛を主訴に近医眼科を受診した。 眼窩蜂窩織炎が疑われ, 前医眼科紹介受診となった。 右眼窩蜂窩織炎の診断で抗菌薬の投与を行うも症状は改善せず, 視力低下に加え CT にて右眼窩骨膜下膿瘍を認めたため当院耳鼻咽喉科を紹介受診となった。 右視力は光覚弁以下, 著明な眼球突出と角膜混濁を認めた。 CT, MRI より鼻性眼窩内合併症の診断で全身麻酔下に緊急で内視鏡下鼻内副鼻腔手術および外切開での眼窩骨膜下膿瘍排膿術を施行した。 術後に抗菌薬投与, ステロイドパルス療法を行い眼瞼腫脹, 疼痛は改善したものの, 視力障害は改善しなかったため, 追加で視神経管開放術および2回目のステロイドパルス療法を行った。 しかし, 最終的に視力の改善は得られなかった。 慢性副鼻腔炎の急性増悪は周辺臓器への炎症波及によりさまざまな症状を呈する。 本症例のように視神経の障害は短期間に不可逆性変化をきたす可能性があり, QOL を著しく障害する。 視力障害残存については初診時の視力・視野・視神経乳頭所見および手術までの日数が予後因子とされており, 視野障害が出現する前に適切かつ迅速な診断・治療を行うことが視機能改善に重要である。 視力が改善しなかった本症例について, 文献的考察を加えて報告する。

  • 櫻井 凜子, 露無 松里, 原山 幸久, 内尾 紀彦, 宮下 文織, 小森 学, 小島 博己
    原稿種別: 臨床
    2020 年 63 巻 2 号 p. 79-82
    発行日: 2020/04/15
    公開日: 2021/04/15
    ジャーナル フリー

     声門下肉芽による気道狭窄は感染症や外傷, 気管挿管などが原因で起こるとされているが, 比較的稀な疾患である。 今回, 声門下肉芽の再発を繰り返し, 9ヵ月間で複数回の手術を要した1症例を経験したので報告する。

     症例は70歳男性で呼吸苦を主訴に当院を受診した。 本症例では心筋梗塞発症時他院にて挿管された経緯があり, 挿管の刺激で生じた声門下肉芽による気道狭窄と考えた。 経口的に顕微鏡を用いた喉頭微細手術で肉芽の完全切除を目指したが, 肉芽は声門下後方というアプローチしにくい場所に位置しており, 複数回の手術をしたにもかかわらず取り残しによる再発が疑われた。 そこで鼻用直達鏡と70度斜視鏡を用い経気管切開孔からアプローチしたところ, 肉芽の全貌の観察が可能となり基部を確実に切除できた。

     以後再発を認めず良好な経過が得られたことから, 呼吸状態の問題から手術を選択せざるをえない場合, 肉芽の基部をさまざまな角度から明視下におくための工夫が必要であると考えた。

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